お役立ち情報
腎臓病と食事療法
腎臓病と診断されて、不安に思うことが多々あると思います。
調べていくと脅しのように感じる情報がたくさん出てくることでしょう。
この腎臓病食サポートでは、不安を一つ一つ解きほぐしていき、楽しんで食事ができように応援・お手伝いしています。
まずは、腎臓病について見ていきましょう。
「新たな国民病」
日本の腎臓病患者は、年々増えています。
どのくらいいるか、ご存知ですか?
慢性腎臓病(CKD)患者さんは、日本国内に1,330万人いるとされ、
なんと「成人の8人に1人」にあたります。
「新たな国民病」とも言われています(日本腎臓学会 CKD診療ガイド2012)。
それに合わせて、慢性腎臓病の透析患者も増加傾向です。
これからも、しばらくは多いと思われます。
気づかないだけで、実は身近なところに腎臓病のお仲間さんがいるかもしれませんね。
自分の周りに腎臓病の人がいるなんて、聞いたことがない人も多いことでしょう。
どんな感じ?と聞きたくても、
どうしたらいい?と相談したくても、
身の周りにいなければ、不安になるし、一人だと心細いものです。
そこで、この腎臓病食サポートでは、アフターフォローとしてコミュニティを作って、当事者同士の交流の場を作っています。
決してひとりではありませんよ!
腎臓病の食事療法の必要性
腎臓病の治療方法は主に2つです。
①食事療法
②薬物療法
腎不全になると、透析や移植などの方法もあります。
腎臓病の食事療法は、腎臓にかかる負担を最小限にする食事です。
腎機能障害の進行を抑え、慢性腎臓病の合併症を予防することが目的です。
今の医療では、完全に治癒できないのが残念ですが、
今以上に悪くならないように、食事療法と上手に付き合っていきましょう。
具体的に気をつけるポイントは3つです。
- 高エネルギー
- 低たんぱく質
- 減塩
*人によっては、カリウム制限も指示される場合があります。
この1~3の順番も大事です。
多くの場合、2の低たんぱく質から取り組むため、逆に病気を悪化させてしまうことがあります。
エネルギー不足にご注意ください。
肉や魚などのたんぱく質食品を食べ、体の中でエネルギーとして使われると、老廃物(ゴミ)が出ます。
イメージは、ゴミの日にゴミ出しが上手くできなくなったら、身体の中がゴミ屋敷状態になります。
ゴミ屋敷状態の身体で生活すると、様々な症状が出ます。
- 身体がダルイ
- 血圧が上がる
- 浮腫み
- しびれ
- 吐き気
- 食欲不振 など
体内のゴミの量を確認できるのが、血液検査のクレアチニンとBUNです。
ゴミを外へ出す量が少ない(腎機能の低下)状態であれば、ゴミの素となるたんぱく質を減らすことにつながります。
腎臓は「エコステーション」
腎臓の役割は様々あり、調べればたくさん出てきます。
詳細は、他で調べていただくとして…
私が腎臓病のメカニズムを説明する時、いつも何かに例えます。
腎臓は「エコステーション」に近いと思っています。
エコステーションは、ダンボールや雑誌、古着やペットボトル等のリサイクル可能な物も置いてよい場所です。
今までゴミの話をしてきましたが、腎臓はただのゴミ捨て場とは違います。
体の仕組みをそれぞれを例えるとこうなります。
血管 = 道路
血液 = 車
腎臓 = エコステーション
水分・栄養分 = リサイクル資源
クレアチニン・BUN=ゴミ(老廃物)
尿 = ゴミ捨て場
- たんぱく質食品を食べる
- 胃や腸で消化・吸収する
- 血液(車)に栄養が乗って、血管を流れる(道路を走る)
- 血液(車)は全身を回り、たんぱく質という栄養を筋肉や細胞へ運ぶ
- たんぱく質をエネルギーとして使うと、老廃物(ゴミ)が出る
- 出てきた老廃物(ゴミ)は、血液(車)に、栄養とごちゃ混ぜに乗せられ、腎臓(エコステーション)へ運ばれる
- 腎臓(エコステーション)に来ると、荷物は分別される
- 栄養・水分(リサイクル資源)は再吸収されて、また血液(車)に乗せられ、血管を流れる(道路を走る)
- 老廃物(ゴミ)は、尿(ゴミ捨て場)の中に置かれて、外へ排出される
こんなイメージになります。
腎臓は痛みもない静かな臓器ですが、全身の調整をしてくれるすごいヤツです。
悪くなってから気づくことが多いので、毎年の健康診断で早めに気づいて早めに対処していきたいものです。(早期発見早期治療)
低たんぱく質の落とし穴
食事療法のポイントに「低たんぱく質」があり、たんぱく質の摂取量を減らすようすすめられます。
しかし、低たんぱく質の食事を意識しすぎるあまり、全体の食事量が減り、低栄養状態(エネルギー不足)になる方が多くいます。
エネルギー不足になると、身体は蓄えていた筋肉を壊して、エネルギーを作り出します。
人の筋肉もたんぱく質なので、肉を食べた時のように老廃物(ゴミ)が出てきて腎臓に負担をかけます。
- 体重減少
- 筋肉量減少
- クレアチニン値 上昇
- 腎機能がさらに低下・悪化
たんぱく質を食べる量は、個々の身体に合わせて適正量にしなければなりません。
医師からの指示で、60g/日、40g/日、30g/日など個人差がありますので、確認しましょう。
一概に「コレを食べれば大丈夫」というのはありません。
食材によってたんぱく質量は異なります。
「これだけ食べたらたんぱく質〇g」という調節は、管理栄養士でも難しいものです。
たんぱく質の量の調整に加えて、エネルギー補給も欠かせません。
なんとしても筋肉量は落とさないようにして、体重は維持したい。
そのためには、体内で老廃物が出ない脂質・糖質でしっかりエネルギー補給をすることです。
どうしたらいいか?
腎臓病の事を調べていくと、
「悪化するとどうなるか」
「食べられない物・控える物」 など
怖く感じることや出来ないことがいっぱい出てきて、どれも脅されているような不安を感じますよね。
脅し役は他の情報にお任せするとして…
腎臓食サポートでは、限られた状況でできることを一緒に考えます。
「あなたに適したたんぱく質量だと、●●をこのくらい食べられますよ」
「脂質と糖質を料理に入れるには、こんな方法がおススメです」 など
日常生活で、どう取り入れるかは、個人差があります。
無理をして食生活を変えても、無理なダイエットと同じようにしんどいばかりで、長続きしません。
病院の栄養指導では、食事療法を教えることはできても、ご自宅で実践することまでは、お手伝いできません。
そこを補うために、腎臓病食サポートを立ち上げました。
腎臓の負担を最小限にする工夫を食事の面から考え、
お話を聞きながら、栄養計算したりして、食べられる量を探ります。
ご家族が毎日おうちで料理できるようにする方法と情報をお伝えし、
買い物に同行したり、個々のお宅で料理教室をするなど、
日常生活の中で食事療法を実践できるようにお手伝いしております。
家族の中で、一人だけ別の食事をする人を何人も見て来ました。
そんな悲しいことはなくしていきたい。
食事制限があったとしても、制限の枠の中でいかに食事を楽しむか♪
スーパーで買える食材で、家族と同じ食事を食べられる工夫を、一緒に考えていきましょう。
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